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「美術品」は節税対策になる?

企業や病院へ訪れる機会があれば、エントランスに絵画や彫刻といった美術作品が展示されているのを目にする機会もあるのではないでしょうか。

一見すると事業には何の関係もないように見えますが、実は減価償却の対象となるため、美術品の購入が節税に繋がることもあるのです。ここでは、美術品で節税をするポイントや認められないケースについて解説します。なお、実際に節税対策を講じる場合は、必ず税務の専門家にご相談ください。

美術品が経費として認められる基準

美術品を経費にするには、減価償却資産として耐用年数に応じた経費計上をする必要があります。2015年には税制改定が行なわれて、100万円以内の美術品であれば経費として扱うことができるようになりました。美術品の法定耐用年数は8年なので、8年間経費を計上できるようになるということです。

ただし、美術品を減価償却するためには、いくつかの条件があります。

減価償却をする理由は、機材や備品が「年月を経ると価値が下がる」ことを前提にしています。そのため、美術品でも、時間の経過によって価値が下がることが明らかであれば、減価償却が可能という前提があります。つまり、代替ができないような歴史的な価値の高い美術品は、時が経っても価値は変動しにくい資産とみなされ、減価償却ができません。

また、美術品を私的な目的で取得していないことが前提となります。企業・病院がエントランスや待合室に美術品を飾っているのは、事業のために使っていることを明らかにするためです。

美術品を持つことは相続税対策になる?

美術品は歴史的価値が高く、それゆえに転売され、所有者不明になった貴重な美術品も存在します。文化庁の公式サイトを見れば所在不明の国指定文化財の一覧をチェックできますが、2022年6月時点で148点もあります。しかも、これは「日本の指定文化財」という狭い範囲に絞った美術品です。

こういった文化財の消失は国が望むことではないので、美術品の相続税については、優遇制度が取られることがあります。例えば、日本で美術品を相続する場合、美術品の寄付によって非課税になりますし、美術品の物納も認められています。物納には順位があり、美術品は第3順位と物納しにくい資産と思われがちですが、所有者が文化庁に美術品を登録していれば、第1順位の資産として美術品を物納できます。

美術品を相続する場合は、生前にどれだけ対策を講じるかによって納税額が異なります。美術品を保有している場合は、早めに税の専門家に相談することをおすすめします。