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居住者と非居住者の違いは?

海外移住は「非居住者」になれるかどうかが重要

所得税法では、納税義務者を「居住者」「非居住者」「内国法人」「外国法人」という4つのグループに分けています。そのため、海外移住をする場合は、「非居住者」と認定されるかどうかがカギとなります。なぜなら、日本の「居住者」とみなされれば、日本で住民税や社会保険の対象者となる可能性があるからです。

日本には非居住者への優遇制度があり、もし非課税者であれば、日本国内で得た所得だけに課税されることになります。また、源泉徴収の対象外となる資産運用・資産譲渡などを行なっている場合は確定申告が必要です。確定申告をする場合は、日本国内から申告・納税を代行する「納税管理人(個人・法人どちらでも可能)」を決めて、「所得税・消費税の納税管理人の届出書」を提出することが義務付けられています。

また、現地と日本で二重課税されるのを防ぐため、海外税額控除という制度があります。これによって、外国で課税された所得税を、日本の所得税から控除できるのです。例えば、外国株式の配当金は源泉徴収されていますが、確定申告によって外国税額控除を受けることで、所得税額を減らすこができます。

一方、非居住者への優遇措置がない国もあります。例えば、アメリカでは海外に住んでいても、アメリカの国籍を持っていたら納税義務が発生します。そのため、節税のために海外に移り住み、アメリカ国籍を放棄する富裕層もいるほどです。

海外に住めばいいというわけではない

「海外に住めば非居住者になれる」と考えている方も多いですが、海外でホテル暮らしをしていることから非居住者とみなされる条件には足りないとして、追徴課税を命じられた事例も存在します。

居住者とは、「国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人」のことであり、いわば生活の本拠が日本にある人のことを指します。非居住者は、「居住者以外」の個人と定義されています。生活の本拠であるかどうかは、滞在日数といった画一的な基準が設けられているわけではなく、客観的事実によって判定されることになっています。

「海外にずっと住んでいれば非居住者になれて、日本の税金を払わなくてもよくなるはず」と安易に考えず、本当に非居住者になれるのかどうか検討する必要があります。

海外移住を成功させても、「生活の本拠が日本にある」とみなされるような中途半端な状態だと、非居住者だと認められずに、脱税を行なったとして所得税の追徴課税をくらってしまうケースもあります。海外に住むと決めたら、日本の自宅を引き払い、海外に住居を構えるなど、徹底した移住計画が必要です。