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貯蓄税は導入されるのか?

貯蓄税とは?

2022年には、「貯蓄税」が課されるかもしれないと話題になりました。今すぐに導入される可能性はほとんどありませんが、今後は貯蓄税導入が検討されるかもしれません。貯蓄税とは、いわば貯金に対して課せられる税金です。

貯蓄税の懸念

日本で貯蓄税を導入する土台は、マイナンバーと資産の紐づけが容易になってから整いつつあります。

貯蓄税は、一見すると単純で多くの税収を得る夢のような税収に見えるかもしれません。消費税と違って逆進性がなく、預貯金を対象にするのであればデフレ対策に効果的という見方もあります。ただ、いくつか懸念事項もありますので、今すぐには導入されないでしょう。

財政破綻のリスク

日本でこの制度を導入する前に考えなければいけないのは、日本の家計貯蓄率が著しく低いという点です。日本の家計貯蓄率は下落傾向にあり、2019年には3.7%でした。2020年にはコロナ禍の影響で13.1%まで急上昇しています。日本の貯蓄率は経済状況(給付金+外出規制による出費の低下)に大きく左右されて向上することはあっても、基本的には世界的に見ても低い貯蓄率とみていいでしょう。また、企業の貯蓄余剰が財政赤字を補填するというやや不安定な状況でもあります。

貯蓄税を導入してさらなる貯蓄率低下を招くと、経常収支が大きく赤字に傾く可能性が高く、財政破綻のリスクが高まるのではないかという懸念があります。

75年前の預金封鎖を警戒する人も

貯蓄税(財産税)は別段珍しい制度ではなく、日本でも導入されたことがあります。戦後1946年に、新円切り替えのタイミングで一時的に財産税が導入されました。この時は、戦争の影響で財政が思わしくない状況だったので、政府は「旧円が使えなくなる」と告知して預金させ、その後に預金封鎖をして最大90%の財産税を課したという歴史があります。こういった預金封鎖はいささか強引な手段で頻繁に起きる訳ではありませんが、世界的にはたびたび見られる手法です。

2024年の新円には渋沢栄一が登場しますが、1946年に新円切り替えや預金封鎖をしたのが渋沢栄一の孫だったという合致に不吉さを感じる方も中にはいます。キャッシュレスが浸透しつつある中であえて新円切り替えをするという奇妙さも相まって、こういった悲観的な見方をする方も多いようです。しかし、財政悪化が厳しい状況が今後も続くのであれば、新円発行のタイミングで預金封鎖と貯蓄税の課税を行なうというシナリオも、完全には否定できません。