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富裕層の相続税対策としての「会社設立」

日本の相続税は高額

税金は、年収が上がるほど課税が増えていく制度(累進課税)が一般的です。年収や資産が高くなればそれだけ多くの税金を取られてしまうため、富裕層にとって大きな関心事といえば「節税」です。

特に、富裕層にとっての最大の関心事といっても過言ではないのが「相続税」対策。日本では、相続税も累進課税です。例えばイギリスの相続税は一律40%なので、資産が少ないほど税負担が大きくなってしまいますが、累進課税では相続資産が多くなるほど負担額が増加します。

世界的に見ても、日本の相続税負担はかなり大きく、相続資産が11億円を超えると負担額が20%を上回り、イギリス・フランス・ドイツなど比較的相続税が高いと言われている国を抜いてもっとも税負担の重たい国になります。日本では、資産を持っていればいるほど、相続税が頭を悩ませる種となるのです。相続税がない中国、シンガポール、オーストラリアなどの国々へ移住することもできますが、家族ぐるみで移住することはそう簡単ではありません。

相続税対策のために、富裕層が真っ先に行なうのは、資産管理会社(プライベートカンパニー)を設立することでしょう。資産管理会社とは、設立者やその一族の資産管理を目的につくられた会社のことです。

資産管理会社のメリット

税制優遇

個人として最大45%の所得税率を課せられるよりも、会社として最大23.4%の法人税率のほうが負担が少ないため、富裕層のほとんどは資産管理会社を立ち上げることになります。損益通算と繰越控除の条件が、個人よりも緩和されるという点も、法人化するメリットです。

個人の資産で得た収入は、本人しか得ることができません。しかし、資産管理会社をつくり家族を役員に据えれば、役員報酬を支払うことができます。家族に収入を分散させることで、不動産や株式によって得た収入には相続税が発生しなくなります。さらに、役員報酬は経費に計上できるため、黒字を小さくでき、資産管理会社が支払う税金も抑えられます。

相続の手続きが簡易になる

法人化することで、個人の資産だった不動産や株式が「法人」のモノとなり、法人の株式という明確な数値で相続税の計算・分配ができるため、相続税の処理が楽になります。

また、相続が始まれば、相続税は現金で納めなければならないとされています。いずれ資産を相続する家族に「報酬」という形で家族がまとまった現金を持っていれば、いざ相続が始まったときにも、先祖代々受け継いできた土地や建物を相続放棄や物納で手放さざるをえない、という心配もする必要がありません。