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日本の消費税は高いのか?

日本で始めて消費税が導入されたのは、1989年でした。公平性の担保や高齢化社会への対策として導入されましたが、当時の反発はすさまじく、あちこちで反対運動が起きているほどでした。その後も、反発を生みながらも、2回の増税が行なわれ、現在まで続いています。

世界と比べたときの日本の消費税の特徴

消費税は大きく「個別消費税」と「一般消費税」に分けられますが、日本では一般消費税に区分されます。全38ヶ国が加入しているOECD加盟国では、一般消費税による税収の割合は平均で20.2%。EUに属する国家は、標準税率15%以上が義務付けられています。

もっとも消費税率が高いのは、ハンガリーの27.0%。もっとも低いのは、スイスの8%です。こうやって見ると、日本の消費税率10%は、やや低く見えます。

実際、日本は「低負担・中福祉」の国といわれています。2022年時点では、国民の体感はどうであっても、数字上で見た場合は消費税負担が小さい国であると言えそうです。負担のわりに福祉が過剰でアンバランスな状況でもあるので、「低負担・低福祉」「中負担・中福祉」「高負担・高福祉」のいずれかに調整する必要性も指摘されています。

なぜ「消費税」が増税されるのか

一般的に、税金が増やされると人の行動は変化します。しかも、基本的には悪い方向へ変わります。

例えば、消費税を増やせば消費活動が冷え込みます。所得税を増やせば労働意欲が落ちてしまいます。相続税を増やせば富裕層が国外へ移住し、法人税を増やされた会社も拠点を国外に移します。

ここに、消費税が増税されやすい特徴があります。どれだけ消費活動が冷え込もうとも、国民は食品や日用品を買ったり、生きていくための消費活動から逃げることができないからです。消費税を増税して、国民の消費意欲が低下しても、大打撃を受けるほどの行動の変化が起きる訳ではないのです。これが所得税であれば、国民は働く意欲を失ってしまい、消費税増税よりも悪影響を及ぼしかねません。

消費税ではなく、法人税にこそ課税するべきだ、という意見も見られます。しかし、法人は個人と違って、簡単に海外へ拠点を移すことができます。日本の財政赤字は企業が余剰をもつことで黒字転換しており、日本から去られると一気に財政が悪化します。こういう背景もあって、大々的に法人税を課すよりも、所得税を増やしたほうがいいという結論に達するのです。